子供に料理をさせるように

以前、「子育て、教育、そして生き方について」というブログに投稿した記事の再掲です。今回は、2015/08/25の記事「子供に料理をさせるように」です。


高校の生徒指導部長をしていた頃の話です。

学校説明会の後に
入学希望者と、その保護者を対象にした学校説明会で、生徒指導の方針を説明しました。
終了後に、あるお母さんから「先生の生徒指導は、子供に料理をさせるようなものですね」と言われたことがあります。

そのお母さんは、
「台所が粉だらけになったり、小さな切り傷や、ちょっとした火傷をすることは気にしないで、大怪我や大火傷をしないように、後ろから見守る。
出来上がった料理がたとえ不細工でも、子どもが自分で料理できたことを一緒に喜んで、美味しい美味しいと食べる。それが大切なのですね」と言われました。
 
話の内容は
あまり上手でもない私の説明を理解していただけたと、うれしく思ったおぼえがあります。

その時の話の内容は、だいたい次のようなものでした。
・生徒には,自分の頭で考えさせ、成功も失敗もできるだけ多くの経験をさせたい。
・あれこれ細かく指示するのではなく、生徒の自主的活動を尊重して任せる。
・教員は、側面あるいは後方から助言・援助はするが、主体はあくまで生徒である。
・たとえ指導・助言があったとしても、生徒が、自分でやったと感じられる事が最も重要。
・高校生のやることなので、完璧なものは望まない。多少不細工でかっこ悪くても気にしない。
そんな内容だったと思います。

実は難しい
口で言うのは簡単ですが、実はこれがとても難しいのです。
そもそも教師というのは教えたがりです。出来栄えも気になります。

例えば、文化祭の装飾をするとしましょう。
最初は生徒の作業を見守っていたはずなのに、いつの間にか「ああした方がいい、こうした方がいい」と口を出します。
そのうち、生徒の作業がまどろっこしくなって、生徒から取り上げて自分でやってしまう。

出来上がりは立派でも、それって生徒が作ったものでしょうか。

微妙な距離感
口出ししたいのをじっと我慢して、要領の悪さで時間がかかるのに付き合って、つかず離れずの距離を保つのは、かなりストレスのたまる作業です。
かといって任せっぱなしで何もしないのは、指導ではなく放任です。
この、つかず離れずという、微妙な距離感が難しいのです。

教師に限らず、親や職場の上司など、人を育てようとする時には、任せて自分の頭で考えさせ、一定の距離を保つのが大切だと思います。

指導助言しているつもりが、いつの間にか自分で料理してはいないでしょうか。


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